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アダルトチルドレンの自己分析 一覧


ゲシュタルト療法によるアダルトチルドレンからの回復・治療 目次:

実際の人間関係ではなく心の中の対象関係に働きかけるゲシュタルト療法
外傷的な出来事の当事者である家族に強い恐怖心を抱くアダルトチルドレンの方々
懲罰的な家族イメージを伴ったアダルトチルドレンの治療に効果的なゲシュタルト療法
ゲシュタルト療法によるアダルトチルドレンの治療方法
・内在化された他の家族のイメージを明確化する
・内在化された他の家族のイメージとの対話
・家族との人間関係についての洞察
アダルトチルドレンの治療にゲシュタルト療法を適用できないケース

実際の人間関係ではなく心の中の対象関係に働きかけるゲシュタルト療法:

家族療法によるアダルトチルドレンからの回復・治療コフートの自己心理学によるアダルトチルドレンからの回復・治療に続き、今回はゲシュタルト療法によるアダルトチルドレンからの回復・治療について考察します。

ゲシュタルト療法(ゲシュタルトセラピー)とはフレデリック・パールズという心理療法家が開発したイメージ療法の一種で、精神分析理論では対象関係*と呼ばれる「心の中の他人のイメージ」との対話を通して心の病の治療や自己成長を促す心理療法です。

*精神分析理論によっては実際の対人関係の方を「対象関係」と呼び、心の中のイメージとの関係は「内的な対象関係」と呼ぶ場合もあるようです。



外傷的な出来事の当事者である家族に強い恐怖心を抱くアダルトチルドレンの方々:

アダルトチルドレンとは機能不全家族の中で育つことで特に人間関係に関わる様々な症状を呈する精神疾患と定義されていますので、アダルトチルドレンの方はほぼ例外なく他の家族との間で外傷的な出来事*を体験しているものと推測されます。

*ここでの「外傷的な出来事」にはトラウマ(心的外傷)と呼ばれるような深刻な出来事のみならず、たとえ軽度でもアダルトチルドレンの方にとって苦痛と感じられるような出来事を繰り返し体験することも含まれます。

そのためアダルトチルドレンの方は少なくても一人以上の他の家族に対して非常に強い恐怖心を抱いているケースが多く、中にはその家族の(恐い)イメージが心の中に居座ってしまっている方も少なくありません。

特に後者のようなアダルトチルドレンの方の場合、たとえ家を出て別の場所で暮らし始めたとしても、心の中のその家族のイメージからは逃れることができないため、その家族のイメージからの容赦ない非難や、あるいはその家族の登場する悪夢などで繰り返し苦しめられることになりかねません。

※内在化された他の家族のイメージは明確に意識されているとは限りません。
むしろあまりに恐怖心が強い場合は、漠然とした不安・いわれのない自責感・容赦ない自己非難などの形を取ることが多いようです。



懲罰的な家族イメージを伴ったアダルトチルドレンの治療に効果的なゲシュタルト療法:

このような懲罰的な家族イメージの内在化を伴ったアダルトチルドレンの治療に効果的と考えられる心理療法がゲシュタルト療法です。

後者のような現実の家族のみならず、その家族のイメージもが脅威となってしまっているアダルトチルドレンの方にとって、心の中の恐怖に満ちた家族イメージからの影響が少なくなるだけでも、いえ、どこに逃げても付きまとってくる心の中の恐怖に満ちた家族イメージの変容こそがアダルトチルドレンからの回復に不可欠とさえ言えるのかもしれません。

ゲシュタルト療法はクライエントさんの対象関係(内在化された他者のイメージ)をより役立つものへと変容させることを目的としているため、後者のような心の中の恐怖に満ちた家族イメージに苦しめられるタイプのアダルトチルドレンの治療に対して非常に効果的な心理療法と考えられます。



ゲシュタルト療法によるアダルトチルドレンの治療方法:

ではゲシュタルト療法によるアダルトチルドレン治療の実際の手順に移ります。

1.内在化された他の家族のイメージを明確化する
この手順はゲシュタルト療法ではありませんが、上述のようにアダルトチルドレンの方の内在化された家族イメージは明確に意識されているとは限らないため、まずは内在化された他の家族のイメージを明確化する必要があります。

具体的には例えば自己非難の内容に対して「そんな風なことを○○さんに対してよく言う、あるいはいかにも言いそうな人で、どなたか思い当たる人はいらっしゃいませんか?」とお尋ねすれば、多くの場合人物が特定されます。

2.内在化された他の家族のイメージとの対話
ここからいよいよゲシュタルト療法の手順に入ります。
具体的には内在化された他の家族のイメージとの対話を試みるわけですが、こうしなければならないというルールは特にありません。目を閉じても開けたままでも、椅子を用意してもしなくても、どちらでも構いません。
むしろ対話の仕方や内容はアダルトチルドレンの方に委ねて自由に行っていただいた方が良いように思えます。

もっとも「自由に」と言われてもかえって困惑されるクライエントさんもいらっしゃいますので、そのようなときは心理カウンセラーの方から提案する必要があります。
例えば私の場合は「何かこの機会に伝えたいことはありませんか」あるいは「本人を目の前にしては言えないことでも、イメージの中でなら話せそうなことはありませんか」などとお尋ねすることが多いです。

3.家族との人間関係についての洞察
上手く行けばイメージとの対話から、その家族との人間関係についての洞察が得られます。もっとも洞察内容は同じアダルトチルドレンでも千差万別です。

また仮に有益な洞察が得られない場合でも、その行き詰まりの状態が次なる展開のための介入のヒントにもなり得ますし、そのようなときこそ心理カウンセラーとしての真価が試されるときでもあるはずです。

※余談ですがゲシュタルト療法の中には、声を上げて泣くなどの激しい感情表現がなければ十分な治療効果は得られないとする理論もあるようですが、外傷体験の当事者のイメージと対話することを考えますと、おそらく大多数のアダルトチルドレンの方にとっては(イメージと)話をするのがやっとで、激しい感情を顕わにするなど恐くてできない相談のように思えます。



アダルトチルドレンの治療にゲシュタルト療法を適用できないケース:

どんな心理療法にも限界がありますように、残念ながらアダルトチルドレンの治療にゲシュタルト療法を適用できないケースもあります。
それは内在化された家族のイメージに対する恐怖心が強すぎる場合です。

家族療法や自己心理学によるアダルトチルドレンの治療のように直接家族と対話するのが恐くてできないからこそゲシュタルト療法を用いるのに、その恐怖心が強すぎると治療に使えないとは確かに矛盾しています。
しかし内在化された家族のイメージがあまりに恐ろしい性質の場合、そのイメージを想像するだけでもアダルトチルドレンの方に激しい恐怖心を引き起こしてしまう場合が実際にあり得ます。

このように恐怖心の非常に強いアダルトチルドレンの方の場合、治療に際して家族との直接対話はもちろん、家族のことを話題にすることさえ慎重にならざるを得ません。
したがってこのようなアダルトチルドレンの方のケースでは「急がば回れ」ではないですが、直接家族のことに言及することなく治療を進める必要が出てきます。

次回のブログでは家族療法も自己心理学もゲシュタルト療法も使えない状況でもアダルトチルドレンからの回復に有効な心理療法として、ナラティブセラピー(より正確にはナラティブ・ジャーナリング・セラピー)を取り上げる予定です。

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個人的には『実践・“受容的な”ゲシュタルト・セラピー―カウンセリングを学ぶ人のために』をお勧めいたします。

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コフートの自己心理学によるアダルトチルドレンからの回復・治療 目次:

精神疾患の家族内連鎖を強調したコフートの自己心理学
コフートの自己心理学によるアダルトチルドレンからの回復・治療-私のケース
ウィニコットの精神分析理論による母子関係の自己分析
母子関係の真実を確かめるために母親と対話
母親の人生への共感的理解による恨みの消失
コフートの自己心理学の「親の人生への共感的理解」によるアダルトチルドレンからの回復・治療
親への怒りの増幅もアダルトチルドレンからの回復・治療に役立つ可能性
自己心理学によるアダルトチルドレンからの回復・治療の制約

精神疾患の家族内連鎖を強調したコフートの自己心理学:

以前に家族療法によるアダルトチルドレンからの回復・治療で、あくまで部外者の立場からではありますが家族療法によるアダルトチルドレンからの回復・治療について考察しました。
今回はその家族療法とは別の心理療法、具体的には精神分析理論の一つである自己心理学の理論に基づいたアダルトチルドレンからの回復・治療について考察してみたいと思います。

自己心理学とはハインツ・コフートが打ち立てた精神分析理論で、読んで字のごとく自己(「これが私」という感覚)を中心に据えた概念です。
コフートは精神疾患、中でも自己愛性パーソナリティ障害(自己愛性パーソナリティ障害)の治療に際しての共感的理解傾聴の重要性を指摘しましたが、それに加えて精神疾患の家族内連鎖についても重要視していました。
つまり非共感的な親に対するクライエントさんの怒りも理解できるが、その親の態度もまた自分の親との間で同じように傷つきを味わった結果生じたのであり、それゆえこれは誰が悪いという問題なのではないという考えです。

※コフートと同様にアリス・ミラーも「才能ある子のドラマ」の中で自己愛は連鎖するとして、精神疾患の家族内連鎖の可能性を指摘しています。
また『パーソナリティ障害の診断と治療』によれば、このように精神疾患の家族内連鎖を強調するコフートの自己心理学は、精神分析家のみならず家族間の人間関係のトラブルに関わることの多いケースワーカーの人々からも高く評価されているそうです。



コフートの自己心理学によるアダルトチルドレンからの回復・治療-私のケース:

次に肝心のコフートの自己心理学の、アダルトチルドレンからの回復・治療への効果についてですが、今回は私自身がアダルトチルドレンと思われる症状から回復していったケースについてお話させていただきます。

ウィニコットの精神分析理論による母子関係の自己分析
当時の私はこのブログに掲載しているような自由連想法による自己分析はまだ行っておらず、もっぱら心理学や心理療法の本を読みながら、その文章に触発される形で自己分析を行っていました*。
特に精神分析家のウィニコットの本が自己分析に大きな影響を及ぼしました。

*余談ですがこのような形での自己分析は現在でも続いており、私見では自分自身や症例のことを頭の片隅に置きながら本を読む方が、ただ理論を覚えるために読むよりも遥かに身になると考えています。

ウィニコットは精神分析家である前に小児科医でしたので、母親と子供との人間関係(母子関係)を軸にその理論が構成されていました。したがって自己分析のテーマも必然的に母子関係が中心となっていきました。



母子関係の真実を確かめるために母親と対話
ウィニコットの精神分析理論に触発される形で幼少期の母親との人間関係についての無意識的な記憶*が次々と浮上する中、私は生まれたばかりの頃や幼少期の自分がどんな子供だったのかを確かめたい欲求に駆られ、そのことを確かめるべく田舎の母親に定期的に電話するようになりました。
こうして絶縁とは言わないまでも疎遠だった母親との対話が偶然にも再開されることとなったのです。

*社会構成主義の理論に出会った今は、すべてが抑圧されていた記憶とは思えず、中にはそのときの自分に役立つような考えや気持ちが形成されたものもあったのではと考えています。

以前に怒りの自覚・表現vs母親への共感的理解-アダルトチルドレンの自己分析・回復・治療の「母親に辛い気持ちを伝えて余計に惨めになった体験」で、母親に対して辛かった気持ちを伝えようとしても体が震えて上手く伝えられなく、それゆえアダルトチルドレンの方に母親ないしは父親を交えた家族カウンセリングを行うことは、それ自体が精神的な苦痛をもたらすと述べました。
しかしこのときの私にはそのような母親に対する恐怖心はほとんど感じられませんでした。
母親を非難したりするようなことは怖くてとてもできなくても、幼い頃の自分のことを聞くことは何とかできたのです。

※ただし後に母親が上京した際、対面して話をするだけで恐怖心のあまり眩暈が生じたことを考慮しますと、電話だからこそ心理的に適切な距離を保つことができた結果あのような話ができたのではないかと考えられます。



母親の人生への共感的理解による恨みの消失
このような世間話とは程遠いような話題に対して(驚いたことに)母親は喜んで話をしてくれました。
しかも幼少期の私の様子だけでなくその頃の自分のことや、結婚前や自分が子供の頃の話までしてくれました。

詳細は既に怒りの自覚・表現vs母親への共感的理解-アダルトチルドレンの自己分析・回復・治療の「母親の人生の共感的理解によるアダルトチルドレンからの回復・治療-私の場合」に掲載してますので今回は割愛させていただきますが、その母親の信じられないような壮絶な話を聞かされたことで、なぜ母親が私にとっては非常に辛い態度を取った、いえ「取らざるを得なかった」のかが理解できたように思えました。

また母親の人生に共感的理解が生まれたことと並行して、いつしか母親への長年の恨みも不思議なことに消えていきました。
これは軽減ではなく文字通り「消失」したのです。



コフートの自己心理学の「親の人生への共感的理解」によるアダルトチルドレンからの回復・治療:

その後『パーソナリティ障害の診断と治療』で既述の「親もまた自分の親との間で同じように傷つきを味わったのであり、それゆえこれは誰が悪いという問題なのではない」旨の文章を目にしたとき、上述の「母親の人生への共感的理解を通して母親への恨みが消失」した体験がまさにコフートの自己心理学の治療効果と重なるように思えました。

アダルトチルドレンの方は親(多くの場合、母親)に対する恐怖心があまりに強いため、ネガティブな感情をほとんど表現することができず、その従順さ(あまりに聞き分けの良い子*)ゆえに親の言いなりのような人生を送ってしまいがちになります。

*母親は子供の頃の私のことを「聞き分けが良く、ほとんど手のかからない子」と評していました。

しかしもしアダルトチルドレンの方が親から、あるいは直接本人に聞けないようでしたら他の家族や親戚その他の親しい知人から自分の知られざる生い立ちや(おそらくは同じように辛い)親の生い立ちを聞く機会に恵まれれば、私のケースと同様にその親に共感的な気持ちが生じたり、恨みが消失ないし軽減することで許しの気持ちが生じたりすることをきっかけとしてアダルトチルドレンから回復する可能性があるように思えます。



親への怒りの増幅もアダルトチルドレンからの回復・治療に役立つ可能性:

ここで仮に親ないしその他の家族・知人から話を聞けたとしても、その内容が共感どころかますます許せないような内容だったとしたら…との懸念が生じます。

しかしたとえこのようなケースになったとしても、それはそれでアダルトチルドレンの方にとって治療的な効果をもたらす可能性があると私は考えています。
なぜならアダルトチルドレンの方の多くは、怒りを表現できないばかりでなく怒りを感じるだけでも「親を悲しませる・傷つける」酷いことだとして罪悪感に苛まれたり、あるいは内在化された親のイメージから報復的に罰せられる恐怖に圧倒されてしまうことから怒りを抑圧する傾向があると考えられるためです。

このアダルトチルドレンの方の怒りを罪悪感や懲罰不安から抑圧する傾向を考慮しますと、親に対する怒りの増幅は罪悪感や懲罰不安を打ち負かし怒りの受容を促すエネルギーになり得るのではないかと私は考えています。
実際過去に(自己心理学的アプローチばかりではありませんが)心理療法を通して怒りが増幅された結果、それまではとても怖くてできなかった怒りを自覚できるようになることで気持ちが楽になったクライエントさんが何人もいらっしゃいます。

また上述の治療効果はハーマンが『心的外傷と回復』で述べた、自らをトラウマ(心的外傷)の被害者*と認められることで得られる、不必要な罪悪感からの解放効果と重なる部分もあるように思えます。

*欧米では『心的外傷と回復』で提唱されたアプローチの結果、子供が親を法的に訴えるケースが急増したとして著者のハーマンが批判の矢面に立たされているようです。
しかし私が『心的外傷と回復』を読んだ限り、心理カウンセラーその他の治療者が訴訟を勧めているような記述は一切見当たりませんでしたので、おそらくこれは心的事実を歴史的事実と誤認した結果生じた悲劇なのではないかと推測されます。



自己心理学によるアダルトチルドレンからの回復・治療の制約:

ただコフートの自己心理学的アプローチによるアダルトチルドレンからの回復・治療には大きな制約があります。
それはこの技法がどのような方法を取るにせよ親子の対話が可能ないしは、その他の対話可能な家族や知人が親のことを熟知していることを前提としていることです。
したがってこの条件が満たされない状況では、コフートの自己心理学的アプローチによるアダルトチルドレンからの回復・治療は残念ながら適用できません。

しかしそれでもまだ希望はあります。親子を交えた家族カウンセリングも無理、親の生い立ちを聞くことも無理…それでもアダルトチルドレンからの回復に有効な治療方法が他にもあります。
次回のブログでは家族療法も自己心理学も使えない状況でもアダルトチルドレンからの回復に有効な心理療法として、イメージ療法の一つであるゲシュタルト療法(ゲシュタルトセラピー)を用いたアダルトチルドレンからの回復・治療について取り上げる予定です。

コフートの自己心理学ガイド本
入門書としては和田秀樹さんや丸田俊彦さんの本がお勧めです。

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家族療法によるアダルトチルドレンからの回復・治療 目次:

多様なアダルトチルドレンからの回復・治療方法
家族療法によるアダルトチルドレンからの回復・治療
アダルトチルドレンの定義と家族療法の仮説との整合性
家族療法によるアダルトチルドレンからの回復・治療の難しさ-親への恐怖心の存在
親への恐怖心から生じるアダルトチルドレンの症状
親への恐怖心がもたらす家族療法(家族カウンセリング)への苦痛
アダルトチルドレンの治療初期に家族療法を適用することの危険性
「話し合えばいつかきっと分かり合えるはず」との家族神話の幻想?

多様なアダルトチルドレンからの回復・治療方法:

怒りの自覚・表現vs母親への共感的理解-アダルトチルドレンの自己分析・回復・治療からのアダルトチルドレンの回復・治療への自己洞察の続きです。

先の自己分析では東ちづるさんと私のケースそれぞれの、アダルトチルドレン(AC)からの回復・治療過程について比較検討しました。
今回のブログでは以上の他に、過去にカウンセリングさせていただいたクライエントさんの中でアダルトチルドレンと思われる症状をお持ちの方のアダルトチルドレンからの回復・治療過程も加えてさらに詳しく比較検討します。

なぜならアダルトチルドレンから回復されたと思われるクライエントさんの多くが、東ちづるさんが回復された治療方法(母親同席の家族療法)とも、私の選択した治療方法(自己心理学的な母親の人生への共感的理解*)とも異なる治療方法、具体的にはゲシュタルト療法(ゲシュタルトセラピー)によりアダルトチルドレンから回復されたと考えられるためです。

*関連ブログ:コフートの自己心理学によるアダルトチルドレンからの回復・治療

ところが…いざそれぞれの心理療法によるアダルトチルドレンからの回復・治療について書き始めますと非常に長文となってしまったため、予定を変更して今回のブログでは東ちづるさんの回復のケース、つまり家族療法によるアダルトチルドレンからの回復・治療に絞って掲載させていただきます^^;



家族療法によるアダルトチルドレンからの回復・治療:

NHK教育『子どもサポートネット』のアダルトチルドレンの特集番組に出演されていた東ちづるさんのお話によれば、個人カウンセリングと並行して母親同伴による家族カウンセリング(家族療法)*を行い、最終的に家族療法により「母と娘いうものは何でも分かり合えるとは限らない」ことに気づかれたことが、アダルトチルドレンからの回復に大きく寄与したようです。
これは母親の限界、見方を変えればご自身の幻想的な母親への期待に気づかれたことが、アダルトチルドレンからの回復につながったものと考えられます。

*東ちづるさんの場合、アダルトチルドレンに関するお悩みは主に母親との人間関係から生じていたそうです。



アダルトチルドレンの定義と家族療法の仮説との親和性:

このような家族療法の治療効果はアダルトチルドレンの定義からすれば、むしろ当然予想できることなのかもしれません。
なぜならアダルトチルドレンの病理とは一般的に次のように定義されていると考えられるためです。

「アダルトチルドレンとは(親や他の家族が親・家族としての機能を正常に発揮できないという意味での)機能不全家族の元で育ったために多くのトラウマ(心的外傷)体験に晒され、その結果さまざまな心の病を抱えるに到った子供、およびその子供の頃のトラウマ(心的外傷)体験の悪影響に今も晒され続ける大人の総称」

上述のアダルトチルドレンの定義から想定されますように、アダルトチルドレンの病理とは機能不全家族、言葉を変えれば病理的な家族間の人間関係の存在をその前提としています。

一方、家族療法が想定する個人および家族の病理の性質とは次のようなものです。

「ある家族のメンバーの個人的な病理(のように見える)現象は、実は家族全体の病理の一つの現れに過ぎない」

このようにアダルトチルドレン・家族療法のいずれもが、個人を超えた家族という集団全体としての病理を想定しているため元々親和性があり、したがってアダルトチルドレンの治療に家族療法が用いられ、それが治療的に作用するのはむしろ当然と言えるのかもしれません。



家族療法によるアダルトチルドレンからの回復・治療の難しさ-親への恐怖心の存在:

もっとも理論上はアダルトチルドレンに対して家族療法が高い治療効果が期待できるとしても、現実にはそう上手くことが運ぶとは限りません。
アダルトチルドレンの治療に際して家族療法が上手く機能しない原因の一つとして、次のような要因を挙げれることができます。

アダルトチルドレンの病理に苦しまれる方の多くは親(片親あるいは両親)に対して非常に強い恐怖心を抱いておられるようです。
なかには(私もその一人ですが)現実の親に対する恐怖心だけでなく、恐怖に満ちた親のイメージが心の中に居座り(取り入れ・内在化)いわば過酷な超自我として機能し続けているような方もいらっしゃいます。



親への恐怖心から生じるアダルトチルドレンの症状:

このような方の場合、たとえ親から離れて独りでいたとしても意識的・無意識的に内在化された親から罰せられる恐怖に晒されることが頻繁に生じるため、次のような症状に苦しめられることがあります。

・反復的に生じる、親から虐待されるなどの迫害的な空想
(一種のPTSD(心的外傷後ストレス障害)様のフラッシュバックといえます)
・あるいは得体の知れない漠然とした不安
・(親から罰せられる空想の作用と思われる)いわれのない罪悪感
・(そのいわれのない罪悪感から生じると考えられる)自己非難や自虐的・自己懲罰的思考・行為、および自傷行為自殺願望など
・(親密な人間関係がかつての虐待的あるいは非共感的な親子関係を想起させ、その恐怖を払拭するための防衛手段と考えられる)攻撃的な言動や行為
・以上のような恐怖体験を未然に防ぐための、ときに不適応的な回避行動や生活全般の大幅な制限

※これらの症状はときとして境界性パーソナリティ障害(ボーダーライン・BPD)などのパーソナリティ障害と診断される可能性を孕んでいます。



親への恐怖心がもたらす家族療法(家族カウンセリング)への苦痛:

家族療法では病理の原因を個人の心理ではなく家族全体へと求めるシステム論的なアプローチを取るため、治療に際しても(個人の心理的な変化を促す)個人カウンセリングよりも、家族という集団全体の人間関係の改善を目的として、可能な限り多くの家族のメンバーが参加して行われるカウンセリング、いわゆる家族カウンセリングを重視する傾向があります。

しかしアダルトチルドレンで苦しまれるクライエントさんに上述のような(内在化されたものも含めて)親への非常に強い恐怖心が生じている場合、当事者同士が顔を合わせて行われる家族カウンセリングは非常に大きな苦痛を強いられ、悪くすればそのこと自体がトラウマ(心的外傷)的な体験となりかねない可能性があるように思えます。

東ちづるさんがNHKの番組で「最初のうちは母親に話をしても親子喧嘩になるばかりで収拾がつかず、最終的にアダルトチルドレンから回復できたと言えるまでに4年以上の歳月を要した」旨とおっしゃられていたことからも、家族療法的なアプローチによるアダルトチルドレンの治療が簡単なものではないことが窺えます。

東ちづるさんの努力と忍耐にはただただ敬服するばかりですが、上述のアダルトチルドレンの方の親への恐怖心の強さを考えますと、このようなアプローチに耐えられるクライエントさんはそう多くはないように思えます*。
したがって(もし可能であれば)次回以降に掲載予定の、家族療法以外の心理療法(特にゲシュタルト療法)によるアダルトチルドレンの治療の方がクライエントさんへの負担が遥かに少ないのではないかと考えられます。

*私も家族療法的なアプローチにあえなく挫折した一人です(T_T)
関連自己分析:怒りの自覚・表現vs母親への共感的理解-アダルトチルドレンの自己分析・回復・治療の「母親に辛い気持ちを伝えて余計に惨めになった体験」

家族療法の技法・特徴・留意点ガイド本
お勧めは「家族療法の基礎理論―創始者と主要なアプローチ」です。数多くある家族療法の技法を第一人者のリン・ホフマンが解説した本です。

アダルトチルドレン(AC)からの回復・克服・症状・原因・治療・診断ガイド本

最後に東ちづるさん、詳しい事情を知らない部外者が好き勝手なことを書いて御免なさい^^;

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カウンセラー プロフィール

心理カウンセラー・夢分析家
保有資格:
産業カウンセラー
米国NLP協会TM認定NLPマスタープラクティショナー
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